2017年08月25日
８０年代、男の子と女の子が海に行く話
現代の若い世代は、そうでもないかもしれないけど、８０年代の男の子と女の子にとっては、それはそれは、一大イベントだった。
何がって？・・・一緒に、海にいくとゆうこと。
夏は暑いから、海水に浸かる・・・なんてことでは片付けられない、何かがその場所にはあった。
海には、何があったのだろうか？
潮の香り、波の音、誰かのラジカセから聞こえる佐野元春、緑色のクリームソーダ、サーファーカットの女の子、サンオイルの焼ける匂い、健康的な唇に咥えられたラーク、吐き出された煙はどこまでも青く、つまりは・・・・。
ひらたく言えば、青春があった。
海は、青春に溢れていた・・・・。
そんな、８０年代に男の子と女の子だった人は、こんな風に、海に行ったんじゃないかな？
妄想と想像で書きます。
80Ｓ海のデート・・・・。
最初のデートに海を選んだことに迷いはない。
出会ったばかりの・・・キスはおろか、手さえ握ったことのない彼女の水着だって見れる。
『ワンピース型より・・・・ビキニがいいよな・・・・』
などと、彼は、勝手に想像している。
いつの時代も、男の子は、面積の小さい水着を、女の子には着てもらいたいのなんだ。
そして、彼は・・・・。
泳ぎだって、多少の自信はあるし、若さゆえの腹筋だって割れている。
全然、裸になることにはためらいはない。
中年の贅肉たっぷりの体ではなく、少年お体を彼は保持していた。
免許は取ったばかりだけれど、最近車だって買った。
念願のマイカーだ。
１９７４年式のトヨタ車・・・・
車体価格１９万円、クーラーとカセットレコーダーをつけてもらい、経費を入れたら、総額３５万円に跳ね上がった。
まあ、しかたがない。
とりあえずは、車はキープしたんだし、出会ったばかりの彼女と、明日は海に行く。
幸せな事じゃないか・・・・。
と、彼は、そう思っていた。
サザンに、山下達郎に・・・・そうそう、忘れちゃいけない、大滝えいいちの『ロングバケーション』。
海に合いそうな、カセットテープを、車に積み込む。
そうだ、車の掃除だってしなくちゃ。
車内も車外も、ピカピカに。
そうそう・・・・もし仮に・・・彼女とキスするとして・・・そのまま・・・・シートを強引に倒してしまおう・・・ふむふむ・・・・。
彼は、一人、サイドシートを、スムーズに倒す練習もした。
『よし、ＯＫ』
何が、ＯＫなのかはよくわからないが、彼の想像は、もっと、先まで、そのまた先まで・・・見ていた・・・・。
健康的な少年は、想像力豊かなのだ。
そんな彼の想像力はさらに加速し、その夜の睡眠を奪った。
よくあることだ。
『あー、眠れねえ！』
彼は、缶ビールを何本もあけ、マイルドセブンを、１箱吸った。
『どうしよ・・・眠れねえ・・・』
けっきょく彼は、薄日が差し込む頃、少しだけ眠った・・・・。
ちなみに、彼は１９歳、出会ったばかりの彼女も１９歳だった。
午前６時、待ち合わせ場所である、『ミスタードーナッツ』の前に彼女は立っていた。
ギンガムチェックのワンピースに、白いサンダル、麻の帽子、両手で持つバスケットの中には、彼女が作ったサンドゥイッチ。
「おはよう」と、彼女。
「おはよう」と、彼。
「眠れた？」と、彼女。
「なんとかね」と彼・・・・大嘘である。
「眠ろうとしたんだけど、なかなか、眠れなくて・・・」と、彼女。
「うん」
「電話しようかな？って、思ったんだけど、夜遅くは迷惑かな？って・・・」
「電話してくれればよかったのに」
「・・・うん・・・こんどからそうするね・・・」
そんな、けっして滑らかとは言えない会話が交わされる。
車の中では、コミュニケーション力が試される。
脳みそを振り絞って、話題を繋げるんだ。
がんばれ、少年。
カセットは、サザンオールスターズの『栞のテーマ』。
たぶん、洗ったばかりであろう、彼女の髪の香りが、車内に漂う。
そして渋滞。
でも、渋滞もまたよし・・・。
彼女と居られるのだから・・・・。
山下達郎の『SPARKLE』が流れる。
目の前に、海が広がってくる。
二人の距離も、海が、縮めてくれることだろう・・・・。
今の若いカップルは海に行くのだろうか？
確かに、清潔とはいえないし、くらげだっているし、日焼けで背中の皮もベロベロになってしまう。
でも、昔、その場所には、おしゃれな何かがあった。
それは、そう、思い込んでいただけかもしれないけど・・。
だから、サザンもチューブも、海の歌をたくさん作ったのかもしれないね・・・・。
街並みコンサートのジャムセッションが、９月９日（土）18：00から、ＬＯＳＳＴＡであります。
完全予約制なので、御希望の方は、090-8671-9667長瀬まで、ご連絡ください。
成原。
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Posted by LOSSTA at 16:08│Comments(0)
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